終身保険で老後資金を用意するのはどうなのか?

個人年金とは別に、「終身保険」を使って老後資金を用意するという方法もあります。

終身保険は、一生涯保障がつづく死亡保険で、掛け捨ての定期保険とは違って貯蓄性があり、解約すればそれなりに解約返戻金が戻ってきます。ある程度以上、長く契約していた終身保険は、払い込んだ保険料の総額よりも少しだけ多く解約返戻金が戻ってくるため、個人年金などと同じように使うことができるのです。

個人年金と終身保険とは何が違うのでしょうか? 大きく、次の2つが違いとしてあげられると思います。

保障機能が違う

個人年金はお金を貯めるための保険ですが、終身保険は保障がメインです。個人年金に入っている人が年金を受け取るより前に亡くなっても、それまでに支払った保険料が戻ってくるだけです。対して、終身保険は入っている人が亡くなったら、契約したとおりの保険金が受け取れます。というより、それが目的の商品なのです。亡くなった後のことですから本人にとっては直接関係ないと言えばそうなのですが、遺族にとっては大きな違いです。つまり終身保険のほうが遺族に多くのお金を遺せるということになります。

返戻率が違う

個人年金の場合の「支払った保険料の総額」に対する「受け取る年金の総額」の割合、つまり返戻率は、終身保険の「支払った保険料の総額」に対する「解約返戻金」の割合または解約返戻金の額と比べて高いです。本人が生きて受け取るお金に関して言えば個人年金のほうがトクだということです。終身保険は、本人が亡くなって死亡保険金として受け取ると(遺族にとっては)おトクなのですが、解約返戻金としてはどうしても目減りがあります。

上記の2点を踏まえると、決め手は死亡保障、つまり「遺族に残すお金」が必要かどうか、というところがポイントになります。あくまでも自分が老後に使うための資金づくりということで考えるのであれば、返戻率の高い個人年金のほうがいいでしょう。

ですが、老後資金を蓄えるより前に自分が亡くなったら、お金は遺族に残したい、と思うのであれば、終身保険を使う方法もアリです。老後資金をつくりながら、遺族の生活のための資金を別に用意するのは難しいだろうからです。

養老保険

なお、生命保険の中には「養老保険」と呼ばれているものがあります。「養老」と聞くと老後資金づくりに良さそうな感じがしますね(笑)。これはどういったものでしょうか。

養老保険は、終身保険と同じように、本人が亡くなったら保険金が支払われます。ですが、終身ではなくて、保障は期限つき。期限がくれば保障はなくなってしまうのですが、そのかわり「満期金」として、保険金相当額を自分で受け取ることができるのです。

終身保険は、亡くなったら多額の保険金をもらえますが、生きて受け取る解約返戻金は少し減ってしまいます。個人年金は、生きて受け取る年金は高い返戻率ですが、亡くなってしまうと支払った額が戻ってくるだけ。それに対して養老保険は生きていても亡くなっても同じ額が受け取れるところが違います。

養老保険も、老後資金づくりに使うことは可能ですが、返戻率で言えば、やはり個人年金のほうが高いのです。養老保険は本人が生きていても亡くなっても同額のお金を(保険会社が)支払わなくてはならないため、その分保険料が高めになっています。そのため、返戻率では負けてしまうのです。

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