自営業の人が年金額を増やすワザ~付加年金と国民年金基金~
すべての人は国民年金に強制的に加入しています。国民年金が年金制度の基本だと言えます。
国民年金はきちんと保険料を納めて満額を受け取っても、年額80万円程度です。会社員・公務員はそれに加えて厚生年金・共済年金を受け取りますが、自営業の人などは国民年金だけですし、もし、この額を少しでも増やすことができれば嬉しいですよね。
必ずトクする!?「付加年金」の申し込み
「付加年金」は、国民年金のオプションのようなしくみで、ほんの少しだけ保険料を多めに支払うことで、将来の年金額を少しだけ増やせるというしくみです。
公的年金は国民年金だけという人(自営業の人など)が、地域の役所などで申し込むことができます。
実はこの制度、非常におトクなものなんです。
多めに支払う保険料というのが、月額400円。毎月、400円多くなるだけです。対して増やせる年金額は、付加年金加入月数(400円多く支払った月数)×200円が年額に加算されます。
支払う額が+400円と、ほとんど負担にならないうえ、この付加年金、2年以上受け取れば、支払い総額を必ず取り戻すことができます。
たとえば10年間、付加保険料を支払ったら、400円×12か月×10年=24000円を支払うことになりますが、その結果、120か月×400円=48000円の年金が年額としてもらえるのです。
そして3年目以上はまるまるトクになり、国民年金は終身年金ですが、以後、生きている限り、毎年+48000円をもらい続けることができのです。これはかなりおトクですよね。
自営業の方は、付加年金の申し込みをされることを強くオススメしたいと思います。
「国民年金基金」とは
次に「国民年金基金」について。これも国民年金を増やすことのできる制度です。ただし、国民年金基金は、国の法律にもとづいて設立されているものの、厳密には国とは違う組織で運営されている私的年金の一種です。
国民年金基金も、付加年金と同じように、保険料を多めに支払うことで、将来の年金額を増やすしくみです。付加年金よりは民間の年金商品に近い形式で、保障期間(本人が亡くなっていてももらえる期間)の有無や、掛け金額などを選んで、必要な口数だけ申し込むというような形になります。
プラン例を見てみましょう。
30歳・男性
A型(15年保証付き終身年金)+I型(15年確定年金)
月額保険料:12,730円
年金額:24万円(終身年金)+12万円(15年確定年金)
この場合、60歳までの支払い総額は458万2,800円。対して受け取れる年金は最初の15年間が年額36万円、以降年額24万円となります。最初の15年間だけで計算してみると、返戻率は約118%。だいたい民間の個人年金と同様高い返戻率と言えます。また、確定年金なのでこの15年間ぶんは、本人が亡くなっても遺族に支払われます。その後、終身年金を受け取り続けることを思えば、悪くはないと言えるでしょう。
ただ、不安な点もあります。一見、公的な制度のようで実はそうではない国民年金基金。おおもとの公的年金でさえ不安視されている現状、運用状況に問題はないのでしょうか?
国民年金基金は法律によってつくられている制度ですが、政府とは別の国民年金基金連合が運営しています。もしも運営もとが破綻などした場合、国民年金法という法律の規定で「基金の解散時点での残余財産額を加入員および受給者等で分配すること」と決められています。破綻するような状況で分配されるのですから、元本割れの可能性は大いにありますね。
実際、国民年金基金のサイトには、万一の場合「それまで支払われた掛金額を下回ることがあります」という記述もあったりするのです。
基金は運用状況を公開していますが、決して良い状態ではないようです。
しくみは良いものですが、破綻がないかどうかは確定的なことは言えないという状況。しかし、民間の保険会社でも同じことです。最終的には自己責任での判断ということになってしまいますが、ひとつ言えることは資金を集中させてしまうのはもしもの場合に危険だということではないでしょうか。