個人年金で節税できるってホント?~個人年金保険料控除とは~
個人年金が預貯金と比べて優れている点は節税できるというところです。この税金の軽減効果があるので、当サイトでは、老後資金を個人年金で貯蓄するのをおすすめしているのです。
節税できるというのは、個人年金保険に支払った保険料は、控除の対象になるからです。
所得税や住民税は、収入が多い人ほど多く課税されるのはご存じですよね。正確には、収入額から経費などを引いた「所得」の額に応じた課税がされます。この、「所得から差し引くことができるもの」が控除です。控除にはいろいろな種類があって、そのひとつが「生命保険料控除」というものです。
生命保険料控除は、その名のとおり、生命保険に入っている人は、支払った保険料ぶん、控除をしてもいいよというしくみです。全額というわけにはいかず、上限はあるのですが、保険料を払っている人は少し、控除がある→所得額が下がる→課税される額が少なくなる、というわけで、払わなくてはいけない所得税・住民税が少なくて済むわけです。
生命保険料控除は、さらに「一般の生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」に分かれており、それぞれ、1年間に支払った保険料総額のうち、上限4万円までを控除とすることができます。普通の契約だと、年間4万円以上は確実に支払っているでしょう。死亡保険にも入っていたら合わせて8万円、控除できることになりますね。
この結果、どのくらいトクをするかは所得額によるのですが、所得が高い人ほど節税効果は大きくなるはずです。
控除を受けるためには、保険会社から届く控除証明書が必要です(10月頃に送られてくることが多いです)。会社員の方は、この控除証明書を会社に提出して年末調整をしてもらえばそれだけでOK。自営業の方は、この証明書を使って確定申告をします。確定申告をしたことのある人なら、特に難しい手続きではないはずです。
なお、国民年金基金や確定拠出年金に入っている人は、この掛け金を、社会保険料控除という別の控除にすることができます。個人年金保険料控除は上限が4万円ですが、ほかの控除と合わせればそれなりの控除額になる可能性が高いです。
どのくらいトクになるかシュミレーションしてみました。
実際に、所得税を例として設定して計算してみましょう。
所得税は、累進課税と言って、課税の対象となる額が大きいほど税率なども高くなっていきます。平成24年の所得税率は次のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額※ |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
※この表での控除額とは、税額を計算するときに使う控除のことで、ここで解説している年金関係の控除とは違います。
ある人が、1年間の課税所得(収入から経費を引いたもの)が300万円だったとします。表にあてはめると税率は10%、控除額が97,500円ですから、
300万円×0.1-97,500円=202,500円
が、税額になります。
この人が、月1万円の個人年金保険と、月2万円の確定拠出年金に加入して場合で計算します。
個人年金保険の保険料は年12万円支払ったことになりますが、控除は上限が4万円ですから、この場合、4万円。
確定拠出年金の掛け金は全額が社会保険料控除になり、24万円が控除です。
つまり、課税所得が300万円-4万円-24万円=272万円となります。
すると税額は……
272万円×0.1-97,500円=174,500円
となりました。
控除がなかった場合に比べて2万8000円少なくなりました。
厳密には、他にもあるはずの控除などは省略してかなり単純化していますが、控除の仕組みとしてはこんな形になります。